盛り上がって楽しかった体育祭が終わった途端、先生から「では、体育祭の感想を短歌にしてみましょう」なんていうお題が!!
え、短歌?? となっている中学生の皆さん、分かりますその気持ち!
笑いあり涙ありと盛りだくさんだった体育祭を果たしてたった三十一文字で表現することが出来るのかと心配になっていませんか?
大丈夫! 出来るんです!
今回は、自分の感じた気持ちを短歌で表現するための順を追って、テーマ決めやポイントをご紹介しますよ!
短歌をつくるポイントとは?
「さぁ、短歌を詠もう!」と決意はしたものの、短歌とはいったいどんなものなのかとすぐに壁にぶち当たってしまったあなた!
分かります!
平安時代のころには、ラブレターも短歌を詠んで想いを伝える程、日常的に短歌を詠んでいようですが、今どきそんなことをする人はほぼいないですもんね。
さて、短歌を作るポイントは3つあります!
- 文字数
- 季語
- 題材の選び方
これだけです!
1.文字数
五・七・五・七・七の三十一文字で作る。
この、五・七・五・七・七のリズムは、日本語との相性がとてもいいんです!
学校の授業で学んだり、宿題として短歌づくりが出されるのは、日本語のこのリズム感に触れるためでもあるんです。
2.季語
季語は必ず入れなければいけないという決まりがない。
俳句では必ず入れなければいけない「季語」が、短歌では入れなくても大丈夫なんです!
少し気が楽になりましたね!
3.題材の選び方
季語を入れる必要が無いので、題材選びの幅が広がります!
でも、何でもいい! という状況は、逆にどうしていいのかわからなくなってしまいますよね?
そんなときには、中学生ならではのテーマを題材に選んでみてはいかがでしょうか?
- 体育祭準備期間中の思い出
- 自分の参加した競技
- 家族と体育祭をからめて
の中で思い当たることがあれば、テーマとして使えます。
例えば、体育祭直前の忙しい毎日が思い出深かったら、
無心で走ったリレーのことが心に残っていたら、
応援席に親を見つけて、ついテレてしまったのなら、
のように作ることができますね!
限られた文字数で表現してみると些細なテーマでも、味わいのある短歌になります。
もちろん、季節を題材にして短歌を詠んでも構いませんよ。
一つ一つの歌の中に生徒それぞれの視点が見えるので、体育祭の感想を宿題で出されることが多いんですね。
中学生らしい短歌とは?
せっかく短歌を詠むのなら、各学年ごとの「らしさ」の出ている短歌を読みたいものです。
では、学年別のポイントを紹介していきましょう!
一年生
一年生にとっては、初めての体育祭。
生徒が主体となって完成させる体育祭は、小学校とは一味違う雰囲気がありますよね。
そこで、一年生が体育祭の短歌を作るときには、小学生から少し大人になった雰囲気を出してみましょう。
小学校では薄かった、「先輩との関係」を歌に盛り込んで、本番にむけてまとまっていく組の様子を表すのもポイントです。
二年生
二年生になると、責任のある役割を少しずつ任されてきたり、自分だけでなく、周りの様子にも気を配る機会が多くなってきます。
全体を見渡した時に実感する感情を短歌に盛り込めば、また少し大人になった雰囲気が出せますよ。
中学生になり、体育祭の装飾の準備も自分たちで行うようになると、今までは気にも留めなかった万国旗の装飾さえ、自分には輝いて見えてくるものです。
体育祭の「準備」にスポットを当てて短歌を詠んでみましょう。
準備中に友達にかけた言葉、かけられた言葉をそのまま使ってみると、リアルな感じが出せますよ。
三年生
最後の体育祭となると、ただ楽しむという感情とは別に、しみじみとした気持ちも少し感じてしまいますよね。
目の前で起きている体育祭と、自分の三年間を絡めて短歌を詠むことができれば、三年生らしい短歌を詠むことが出来ます。
無我夢中で友達を応援しながら、友達になった時や、過ごしてきた時間を思い出してしまった。
「友達」にスポットをあてて、過ごしてきた時間を詠むことが出来ました。
他にも、「家族」「ゴールテープ」などの、体育祭の競技で使われる道具を歌の中に使ってみるのもアイデアです。
しみじみとした歌を詠むときには、「天候」を使うのも適していますので是非使ってみて下さい!
短歌にも季語は必要?体育祭やリレーは季語になる?
短歌には季語が必要ないと先ほどお伝えしました。
でも「季語」についてひと通り知っておくと、短歌作成の手助けになりますので少し勉強しておきましょう。
季語は季節を表す言葉ですが、実際のところは、
- 絶対的にその季節にしかありえないもの
- その季節を表わしはするけれど、他の季節にも当てはまらなくもないもの
- どの季節にも当てはまるが、なんとなくその季節にふさわしいもの
と、かなりその幅が広いようです。
今は昔より季節感が薄くなっているので、その季節ならではという風景やものが少なくなっているんですね。
なので、「体育祭」や「リレー」という言葉も季語として使えますので心配御無用!
もう一つ知っておきたいのは、「一つの句の中に、季語はいくつ入れていいのか」ということ。
いざ短歌を作り始めると、「一句の中に季語が二つあってもいいの?」と、疑問に思ってしまうことがあります。
その答えは、
それというのも、主役を際立たせるためなんです!
季節を表す素敵な言葉でも、たくさん並んでしまうと、一つの季語が持っている魅力が落ちてしまうんです。
季語を一つにすることで、その句からイメージされる風景に広がりが出て、味わい深い短歌が出来上がります!
体育祭テーマの短歌例!
では、実際に体育祭をテーマにした短歌を三つ紹介します!
自分で短歌を作る際の参考にして下さいね。
1.「本日の イチオシ種目 お弁当 午後への英気 ここで養う」
体育祭の種目ではありませんが、実はみんな楽しみにしているのがお昼ごはん!
家族が作ってくれたお弁当は美味しいですよね!
忙しい体育祭のつかの間の休息!
中学生らしいホッとした時間が表現できます。
2.「受け取った カップ掲げる 団長の 頬流れるは 汗か涙か」
接戦だった戦いを見事制し、優勝カップを手にした我が団長!
その姿には、いつものたくましさと同時に、戦い終えた充実感もみなぎっている。
頬に光って見えたのは、この暑さの汗なのかそれとも涙だったのか。
こんな姿を目にしてしまったら、例え他の組の団長であっても感動してしまいますね!
先輩後輩関係の生まれる中学校の空気が表せます!
3.「戦いが 終わり静まる 校庭や 肌と地面に まだ残る熱」
体育祭が終わって、さっきまでのざわめきが嘘のように静かになった校庭。
私の肌と校庭の土には火照りがまだ残っている。
片付けをしながら、少し寂しさを感じて、こんなことを思ってしまうことあります!
そのことは終わったのに、あとを引きずって残る温度や匂いというのは理由のわからない切なさを感じさせますよね!
中学生になり、片付けも自分たちで行う大人になった様子も表現できます。
中学生らしい短歌を詠むには「一流の短歌」に触れよう!
短歌を詠むためのルールとポイントが分かってきたところで、過去に読まれた有名な短歌にも触れておきましょう!
それでは五つの短歌を紹介します。
もっと知りたいという方のために、参考となる本も紹介しておきますね!
1.柿本人麻呂
「東の野に かげろひの立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ」
柿本人麻呂
東から日の出前の光が射し始めるのが見えて、後ろを振り返って西の方を見てみると、月が傾いていた。
早朝、狩りに出かけるときに詠んだ歌です。
作者の柿本人麻呂さんは飛鳥時代の歌人で、歌聖と呼ばれているんです!
歌の意味はというと、夜が明ける時間帯に、西の方角を見てみたら、月が傾いて沈もうとしていた。という意味です。
このような小さな出来事でも、風景が思い浮かんできますよね。
大昔と今でも、通じるところはあるんですね!
こちらの本で人麻呂の生きた時代にタイムスリップしてみて下さい!
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