体育祭が終わってホッと一息つくとすぐに、「体育祭をテーマに俳句を作ろう」なんていう宿題が出てしまった中学生のみなさん、「あの賑やかさを十七文字で!?」と、どうしていいのか分からなくなっていませんか?
大丈夫です!
安心してください。
俳句作りのルールとポイントを知れば、難しい言葉を使わなくても、自分の知っている言葉だけで体育祭のあの盛り上がりを、活き活きとした俳句で表現することが出来るようになるんです!
今回は俳句作りのルールやポイントはもちろん、短歌や川柳との違い、一流の俳人も紹介します。
体育祭をテーマにした俳句の例文もご紹介しますので、是非参考にして下さいね!
そもそも「俳句」とは?作り方のルールは?
体育祭をテーマに俳句を書け! と言われても、一体どうすればいいのか!? と頭が真っ白になってしまいますよね。
まずは、俳句がどんなものなのかを知って、作戦を練りましょう!
俳句とは、五・七・五の十七音で表現する詩のことです。
文字数の他にもルールがあって、必ず入れなければいけないのが、季節を表す「季語」。
俳句では自然を題材とすることが多いので季語選びが大事になってきます。
俳句に触れると、少ない言葉を使った表現から、広がりのあるイメージを連想する力が身に付きます。
学校で俳句を学ぶのもこのためなんですね!
そしてこの五・七・五のリズムは日本語にとても良く合います!
俳句を詠むことで、言葉のリズム感も身につくんですね。
喜び、悔しさなど、生徒それぞれが様々な気持ちを抱く体育祭は活き活きとした俳句を作るには絶好の機会という事で、体育祭をテーマにした俳句づくりを行う学校も増えているようです。
練習の成果が出せて競技で活躍できたなら「焼ける土」で夏を表して、
綱引き競技で負けて優勝を逃してしまったなら、
など、自分の感情が動いたことを詠んでみましょう。
小さな出来事を題材に選んでも十分伝わりますよ!
体育祭を連想させる名詞を使えばそれが季語にもなりますのであまり難しく考えなくて大丈夫です。
中学生らしい俳句とは?
体育祭の俳句を詠むと言っても、初めて体育祭を経験する一年生、二年生、そして最後の体育祭となる三年生、と学年によって状況が違ってきますよね!
その学年だからこそ感じる気持ちを俳句に込めれば、その学年らしさのある一句を読むことができます!
それぞれの学年でテーマにしたいポイントをご紹介します!
一年生
初めての体育祭で練習の段階から頼りになるのが先輩の存在。
小学生とは違って、生徒が主体となって体育祭を作っていく場面が増えますもんね!
場面場面で感じる先輩の姿をテーマにすると、一年生らしさのある一句が出来上がります。
など、「先輩」の他に、「(応援)団長」「三年生」などを使うと作りやすいですね!
二年生
ニ年生の時期は、一年生と三年生をつなぐような役目を果たしますよね!
組のみんなを応援する様子など、仲間とのコミュニケーションにスポットを当てた句を詠むと、活気のある一句を読むことができます。
力の抜けた俳句もいいかもしれません!
運動会で使う道具や装飾を句の中に入れてみるのもいいですね!
三年生
三年生にとっては最後の体育祭!
一つ一つの学校行事が最後となっていくので、あらゆる場面で、最後ということが意識されます。
これまで過ごしてきた中で付いた自信や友情をモチーフにすると、時間の経過も感じられる句が詠めます。
青春映画のようなワンシーンが描けそうです!
体育祭やリレーは季語になる?
さて、俳句には季語が必要とお伝えしましたが、俳句を作っていく中で、「これは季語になるの? 」と不安に思ってしまうことがよくあります。
実際のところ、季語の中にも、
- 絶対的にその季節にしかありえないもの
- その季節を表わしはするけれど、他の季節にも当てはまらなくもないもの
- どの季節にも当てはまるが、なんとなくその季節にふさわしいもの
があるんです!
今は昔より季節感が薄くなっているんですね!
なので、「体育祭」や、「リレー」も季語として使えますのでご心配なく!
しかし、季語の心配がなくなり怖いものなしだと思って俳句を作ってみると、「あれ? 季語が2つ??」なんてことが起きてしまうことがあります!
一句の中に季語が2つあってもいいの?
その答えは、
なぜなら、季語がたくさんあると、一つ一つの季語の印象が薄れてしまうからなんです。
とんかつ定食で、添えられたキャベツやトマト、小鉢の漬物などが主役のとんかつを引き立てているのと同じです!
季語を一つにすると、俳句からイメージする風景に余白ができて深みが増し、味わい深い俳句が出来上がりますよ!
体育祭テーマの俳句例!
せっかく一句詠むなら、俳句らしさの出ている句も詠んでみたいものですよね。
風景や天候を取り入れた体育祭をテーマにした句を3つご紹介します!
1.「走り終え 互いに見合う 焼けた顔」
体育祭の練習を毎日やってきて、本番を終えて見ればもう肌は日焼けで真っ黒!
仲間の顔を見て、自分も焼けてるんだろうなと思う。
練習や準備を積み重ねてきた日々が、肌の黒さに現れて仲間と頑張ってきた時間の経過をしみじみと感じますね!
2.「体育祭 日陰を探す 昼休み」
開会式から絶えることなく続いた競技。
暑さも忘れて応援の声を上げていた。
昼休みになって、ホッと一息ついてみると、なんと日差しの強いこと!
無意識に足は日陰を探している。
思い思いの場所で、生徒それぞれが休息を取っている様子が目に浮かびます。
家族みんなで日影の場所を探すなんて光景もイメージできるかもしれませんね!
3.「広い空 果てなく響く 応援歌」
気持ち良いくらいに晴れ渡った空。
その果てしない青の中にどこまでも響いていく応援歌。
それぞれの組が団結して元気な応援歌が空いっぱいに響いている爽快さ!
やはり晴れ渡った空というのは、無条件に気持ちの良いものですよね!
中学生らしい俳句を書くには「一流の俳句」に触れよう!
五・七・五の十七文字という少ない文字数で風景を描写するというのは、いざ作り始めると簡単なようで奥が深いものです。
昔から多くの俳句が詠まれていて、時代ごとに数々の有名な俳人が名句を残しています。
そういった一流の俳句に触れると、自分が俳句を作るときのアイデアの助けになります!
では俳句制作の手助けになる一流の俳句を5つご紹介します!
小林一茶
江戸時代に活躍した俳人で、生涯に残した句は2万句とも言われています!
分かりやすくて親しみのある作風です。
代表的なのは
の句。
ハエを叩こうとしたけれど、よく見るとハエが手と足をすり合わせているのが見えた。
その様子はまるで仏に手を合わせているように見え、また命乞いをしているようにも見える。
という、見落としてしまいそうな一瞬を切り取った句です。
もっと一茶の句を読みたいという方は、現代語訳付きの俳句集がありますので、ぜひ読んでみてください!
松尾芭蕉
旅をしながら日本全国を周って作った「奥の細道」が有名な江戸時代前期の俳人です!
有名なのは、
の句。
池に突然カエルが飛び込んで、静寂が破られたけれど、またすぐにもとの静けさに戻ったという情景が、目の前にありありと浮かんできますよね!
普段の生活の一コマを見逃さない観察力が大事なんですね。
この本では、現代の俳人が松尾芭蕉の最高の一句を投票で選んだ上位157句を読むことができます。
157句も!と思うところですが、果てしない数の中のほんの一部なんですよねぇ。
俵万智
現在も活動している歌人。
分かりやすい言葉を使い、日常を題材にした親しみやすい作風です。
代表的なのは、
意味を訳す必要もなし!
誰もが感じたことのあるフワッとした気持ちを見事に言葉で表しています。
誰もが知っている単語しか使っていないのに、夏の終わりの風まで感じてしまうような一句ですよね!
ご本人が俳句づくりの解説をしている本がありますのでぜひご参考に!
正岡子規
明治時代の文学者で、結核のために、若くして亡くなってしまいました。
夏目漱石とは親友だったようです。
という句は、病気のために、布団の中で過ごすことが多い生活の中で、冬に外の雪の様子をついつい何度も聞いてしまう、という自分の生活に密着した一句です。
子規の句が2千以上も掲載されているこちらも要チェックです!
与謝蕪村
江戸時代中期の俳人でもあり、なんと画家でもありました!
松尾芭蕉の弟子の弟子のそのまた弟子にあたるということもあり、芭蕉を尊敬していたようです。
そのため作風も、古典の教養を土台にした作風でした。
自然の描写が俳人としても画家としても上手かったそうですよ!
薪を割ろうと木に斧を入れた瞬間に活き活きとした木の香りがして驚いた、というこの一句も、一瞬の心の動きを切り取ったところなど、芭蕉の俳句に似ている気もしますね!
蕪村の俳人以外の活動も総合的に解説したこちらを読めば、蕪村について詳しく知ることができます!
覚えておきたい!俳句・短歌・川柳・詩の違いは?
そもそも、俳句・短歌・川柳・詩の違いとはどんなものなのでしょうか?
簡単に説明するとこんな感じです!
俳句
「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」のように、五・七・五の十七音で表現する詩のこと。
季節を示す「季語」を必ず入れる。
短歌
五・七・五・七・七の三十一音の形式で表現される詩のこと。
俳句より創作しやすくなるように文字数が考えられています。
一句読むのは敷居が高そうと思う方は、短歌から始めるのがいいかもしれません!
そして俳句との最も大きな違いと言えば、季語を入れないといけないという決まりが無い!
敷居がまた低くなりましたね。
川柳
五・七・五の十七音で表現します。
音の数は俳句と一緒ですが、川柳には「季語」を入れる必要はありません!
テーマの選び方も、俳句では主に自然を題材としますが、川柳ではテーマに制約が無いので、日常生活や社会に対する風刺など、日常にある様々な場面が題材となります。
詩
詩の範囲はとても広く、こういうもの! とは説明しづらいのですが、簡単に言うと、美しいと思ったものを間接的表現するという感じになります。
間接的に、というのは、何かに例えたりするということですね!
まとめ
今すぐにでも一句詠めそうになってきました!
最後に、ここでおさらいしておきましょう。
俳句とは
- 五・七・五の十七文字で作る詩で、「季語」を入れるのがルール
学年ごとの俳句作りのポイント
- 1年生: 練習や体育祭本番にみんなをリードしてくれる「先輩」をテーマに作る。「(応援)団長」や「三年生」の単語も使える。
- 2年生: 学年問わず仲間とのコミュニケーションをテーマに作る。力の抜けた何気ない俳句も効果的!
- 3年生: 三年間で培ってきた「自信」や「友情」をモチーフにすると、三年という時間がイメージされて、青春映画のワンシーンのような句が作れます。
季語とは?
- 絶対的にその季節にしかありえないもの
- その季節を表わしはするけれど、他の季節にも当てはまらなくもないもの
- どの季節にも当てはまるが、なんとなくその季節にふさわしいもの
の3種類があり、「一つの句の中に季語は一つ」。
体育祭をテーマにした俳句例!
- 「走り終え 互いに見合う 焼けた顔」
- 「体育祭 日陰を探す 昼休み」
- 「広い空 果てなく響く 応援歌」
創作の参考にしたい「一流の俳句」。有名俳人5人
- 小林一茶
- 松尾芭蕉
- 俵万智
- 正岡子規
- 与謝蕪村
俳句・短歌・川柳・詩の違い
- 俳句
-
- 五・七・五の十七音で表現する
- 季語を必ず入れる
- 主に自然を題材にする
- 短歌
-
- 俳句よりも創作しやすいように、五・七・五・七・七の三十一音で表現する
- 季語を入れる必要はない
- 川柳
-
- 五・七・五・七・七の三十一音で表現する
- 季語を入れる必要はない
- 題材の制約が無いので、日常の様々な場面が題材となる
- 詩
- 美しいと思ったものを間接的に表現したもの
これでもうあなたも立派な俳人!
些細なことでも、自分の心が動いた瞬間を詠めば、立派な俳句になることが分かりましたね。
俳句のいいところは、自分が経験したことでなくても、読み手にイメージが伝わるところ!
十七文字の句を読むだけで、その光景が目の前に現れると思うと俳句作りがどんどん楽しくなってきますよ。
感じたことを、素直に、自分の持っている言葉をフル活用して活き活きとした一句を読んでみてくださいね!
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