運動会で目玉の種目といえば、組体操。
その組体操で最も注目される技といえば、ピラミッド。
最近では組体操の技の危険性を問われ、組体操自体をやらない小学校も増えてきているようです。
しかし、毎年楽しみにしている観客や保護者の方たち、実際に披露するのを楽しみにして演技をする子どもたちのために廃止せず、安全に気をつけて続けている小学校も多くあります。
この記事は、そんな小学校の運動会で組体操を行うという学校の先生方にぜひ読んでいただきたいものになっています。
小学校で組体操のピラミッドを安全に成功させるためのコツを、ピラミッドの6段から3段までと、指導方法なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
小学校で組体操のピラミッド成功のコツは?6段の場合
まずはこちらの動画をご覧ください。
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ポイント
- ピラミッドの下の段から順番に体の大きい子を持ってくるのが基本(動画であるように、土台になる子どもたちが背の順で並んでいることからもわかる)
- マットを敷くことで子どもの膝への負担を減らすことができる(土台の中央に体重がかかってくるため、四つん這いで膝への負荷を軽減させるために動画では土台中央に敷いている)
- どうしても土台の子への負荷が大きく、それに加えて待ち時間もあるので、なるべくすばやく完成させるただし、焦りは禁物)
- 最上段に乗る子は、体重が軽く、バランス感覚に優れている子が望ましい
小学校で組体操のピラミッド成功のコツは?5段の場合
こちらのピラミッドは、カタルーニャ式ピラミッドと呼ばれるものです。
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ポイント
- 四つん這いで作っていくピラミッドに比べて下の子にかかる負担は少ないが、上に乗る子は軽い方が好ましい
- 段を作っていくとき、乗られる人はひじ・ひざを曲げてしゃがみ込むようにして乗る人を迎えいれる
- 上の人が乗りこんだとき、ひじ・ひざを伸ばす
- 教師は上に乗る子を随時手助けする
このカタルーニャ式ピラミッドは、立つようにして段を作っていくので安定感があり、安全面でもおすすめです。
また、全員の顔が見られるので、全員が主役になります。
子どもたちからも保護者や観客の反応が確認できるのでモチベーションも上がります。
小学校で組体操のピラミッド成功のコツは?4段の場合
従来からあるピラミッドの4段バージョンで安全を考慮したものがこちら
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ポイント
- ピラミッドの頂上を作るのではなく、全員が四つん這いで4段になるよう乗っていく(頂上がないことで、そのぶん安全性が高まる)
- 一番下の土台にかなりの負荷がかかるため、下は身長が高く、体重も思い子どもにする
- なるべく素早く作っていく(ただし、焦りは禁物)
- サポートする人員は多ければ多いほど事故を防ぐことができる
小学校で組体操のピラミッド成功のコツは?3段の場合
たった3段のピラミッドで盛り上がる組体操ができるのか?と疑問に思った方もいるでしょう。
まずはこちらをご覧ください
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たった3段でも、見ている人が驚くようなピラミッドの作り方があるんです。
安全面でもかなり優れている技なので、組体操の指導が初めての先生にもおすすめできます。
ポイント
- 下段から上段にいくにつれて、体の大きい子~小さい子で作るのが望ましい
- 一気に3段を完成させるため、全員のタイミングを合わせることが重要
- 一番下の土台
- ひじをしめ、手のひらを胸の位置に置き、足を伸ばしてうつ伏せになる
- ひじを伸ばすと同時にひざを引きつけて四つん這いになる(つま先は立てた方が姿勢がよくなる)
- 2段目の土台
- 土台2人の足の間に片足立てひざでしゃがみ、2人の肩甲骨あたりに手をつく(このとき、体重は必ず自分の足にかける。手の方にかけてしまうと下の土台がつぶれてしまう)
- なるべく体を縮めた状態から一気に手をついたまま、立ち上がる(このときも下の土台の子に体重をかけないようにする)
- 足を土台に密着させるように立ち、お尻を突き出し、背中をまっすぐにする
- 3段目
- 手のひらを2段目の人の背中に置き、頭を下げてしゃがむ
- 土台が立ち上がる直前に、飛び乗る(飛び乗るタイミングが非常に重要)
- 手は土台の外側の肩をわしづかみにし、ひざは土台の背中に乗せる
- 一番下の土台
- ピラミッドを崩す場合、下の2段は元の形に戻す。一番上の人は思いきって後ろに飛びおりる。
3段ピラミッド一気立ちの詳しい説明動画はこちら
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そもそも組体操のピラミッドはいつからはじまった?
組体操の歴史
紀元前2000年 | 古代エジプト文明の壁画に組み立て体操と見られるものが発見された |
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19世紀 | ドイツで近代的な組体操が行われた |
19世紀半ば頃 | ドイツで国民の健康と軍事教練を兼ねた組体操が盛んになった |
第1次世界大戦前 | 欧米諸国に広まる |
明治初期 | 日本に伝わる |
1951年度版中学・高校用指導要領に3段ピラミッドなどの図解が掲載されている。
それ以降の掲載は無く、現在は現場の裁量、判断に任されている。
組体操のピラミッド、今は禁止されているの?
学校の行事で行った組体操が原因で起きた事故が多発したために、自治体の判断で安全面を考慮し、廃止するなど、行事から組体操自体を外す学校も現在では出てきています。
中でも大阪府教育庁は、2019年にすべての府立高校に組体操のうち、タワーや人間ピラミッドなどを原則禁止とする通知を出しました。
(ただし、補助ありのタワーは2段まで、ピラミッドは3段までとする)
組体操での事故は、ピラミッドの上段から落下して起きたものや、上の体重に体が耐えられずに起こってしまったものがあります。
圧死や脊髄損傷、骨折など、死亡者や重体者が多発したために禁止せざるを得なくなったと考えられます。
組体操が演技をする子どもの教育のためではなく、保護者や観客へのアピールとしてピラミッドはより高く、人数も多く、盛大に行うようになったのが原因です。
本来組体操は、相手をかかわり合うことでコミュニケーションを取ったり、相手の力や重みを感じ取ったり、自分との違いに気づくことができるものです。
組体操を行うことで、思いやりや自分の役割を考えられるのです。
こうした組体操のあるべき姿を大切にして行われるべきなのに、わざわざ難しく危険な技を子どもにさせてしまっているのです。
小学校の組体操の指導方法は?練習期間は?
まずは、指導する先生が組体操で何を子どもたちに学んでほしいかを明確にする必要があります。
目的や目標がないまま指導しても、先生も子どもたちも何のためにやっているのかわからず、モチベーションも上がってきません。
そのうえで、組体操の指導にあたります。
組体操は集団演技が基本です。
みんなでそろえることが重要になってきます。
また、技の難度を求めるのではなく、完成度を大切にした指導をしてください。
子どもたちができないことはさせず、できる技の完成度を高めましょう。
すべての基本は技を作っていく1つ1つの動きがそろっていることです。
技ができればよし、ではなく、いかにきれいにそろってできるかが重要なのです。
練習期間については、長くとる必要があります。
本番でやる技を運動会の練習期間だけでやろうとすると、指導者や子どもの焦りが事故につながる可能性があります。
そのため、通常の体育の授業時間に組体操の2人技などを取り入れ、徐々に本番に向けて技を仕上げていくという方法をおすすめします。
子どもには決して無理をさせず、意欲的に組体操に取り組める環境を整えることが大事になってきます。
まとめ
- どの段数のピラミッドも、上の段の子ほど体の小さい子を持ってくる。
- 安全面を考慮し、マットを敷いたり、補助の人数を多くしたりする。
- 従来からある四つん這い方式のピラミッドより、負荷の少ないカタルーニャ式ピラミッドと呼ばれるものもある。
- 段数を低くしても、見栄えのあるピラミッドの作り方もある。
- 指導者や実施する学校は、組体操を行う意義を明確にする必要がある。
- 子どもたちに危険だと思われる技はやらない。
- 練習期間を十分に取り、完成度を上げる。
あくまでも、組体操は演技する子どもたちが主役なので、子どもたち全員が心から満足いくものにする必要があります。
見に来ている保護者へのアピールのために行うのではなく、子どもの成長を願って行われるべきものです。
安全面には最大の注意を払って指導していってください。
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