保育園、幼稚園の先生方の間でも、運動会と聞いてすぐ思い浮かぶ行事の一つに「万国旗製作」があると思います。
子供たちが手作りを通して国旗の意味やその国の文化を感じてくれたなら、それはとても嬉しいことですよね。
しかし子供によってどんな国旗を作ってもらえばいいか、難しすぎずシンプルすぎず、そういったバランスが悩みどころですね。
そこで今回、筆者は以下の詳細を調べ、自身もデザインしてみて思ったことも含めて記事にしてみました。
- 子供の年齢を目安に、応用できるようにこまめにステップアップする。
- 国旗の由来を教える。
- 描いてもらう国の特徴を教える。
では詳しく説明いたしますので、お付き合いいただければ幸いです。
万国旗が運動会で飾り付けされる意味は?
運動会が始まった明治初期に、外国から来た船が友好の証として自国と日本の国旗を掲げたことから定着した説や、日本が西欧化してきた明治中期に、国際博覧会に参加するようになり、そこでいろいろな国旗が掲げられていたのを華やかなイベントで模すようになった説もあります。
他にも暮らす場所とか価値観の違いとか気にせず平等に競い合おう!という意味も込められていると筆者は考えます。
万国旗を運動会向けに手作りしよう!0歳・1歳児向けの国旗は?
日本
国旗の特徴
真ん中の赤い日の丸は太陽を意味しています。
国の特徴
太平洋に浮かぶ島国で、
治安が良く道徳心やおもてなしの意識の高さが評判です。
経済も豊かで外国の文化を上手く取り入れ、自国の伝統になるようにアレンジする特徴があります。
製作のポイント
真ん中に赤い円を描いて、中にも赤を塗るのですが、こういうとき、縁側から塗っておくとはみだしにくくなります。
バングラデシュ共和国
国旗の特徴
赤い円がはためくときにちょうど真ん中になるように、少し左寄りにあります。
昇る太陽を見立てたもので、日の丸を参考にしたともいわれています。
周囲の緑は若者の意気、豊かな国土、イスラムの教えを象徴しているのです。
国の特徴
そんな国旗を持つバングラデシュの特徴は、インドの東に位置し、イスラム教が多く、程度の差はあれど豚肉やお酒は口にしない、といった生活を送る人が多いです。
家族間のつながりが深く、それでいて他人の子供でもフレンドリーに接してくれて、子供にとって過ごしやすい人間関係が日常にあります。
製作のポイント
中央より少し左寄りに赤い丸を描きましょう。
パッと見は中央に見えるかもしれませんので、前もって描こうとする子供に教えた方がいいですね。
ポーランド共和国
国旗の特徴
下半分は赤、上半分は白で色分けされています。
レヒという伝説的建国者が、夕日を背景に羽ばたく白いワシを吉兆と見て、赤地に冠つきのワシの紋章にした、という言い伝えをもとにザインされています。
国の特徴
ヨーロッパの中央に位置するこの国は、「平原の国」を意味する名前のとおり、見渡す限りの平原が広がっています。
日本人に親切で、節約家でメリハリをつけて出費するといった計画性のある面もあります。
製作のポイント
同じ大きさの見本を横に置いて、定規で境界線に合わせて赤線を引く、といった方法をおすすめします。
万国旗を運動会向けに手作りしよう!2歳・3歳児向けの国旗は?
ドイツ
国旗の特徴
黒、赤、黄の三色は、ナポレオンの戦争で勝利した学生義勇軍の制服の色で、自由と統一を象徴してます。
それと同時に、勤勉、情熱、名誉を表すとも言われています。
国の特徴
西ヨーロッパにあるこの国の人たちは、勤勉であり、スポーツが好きです。
多数の音楽家が輩出され、音楽も世界からの評価がとても高いんですよ。
製作のポイント
同じ大きさの見本を横に並べて、境界線に習って定規で色分けしましょう。
フランス共和国
国旗の特徴
現在は正式なものだと縦に三等分で色分けされており、左から自由の青、平等の白、博愛の赤を表現しています。
国の特徴
ヨーロッパのなかで西の方に位置するフランスは「中世の都市」ともいわれ、貴族の住んでいた宮殿など華やかな建築物が残されていたり、ファッションに敏感な人が多かったりと、オシャレな建物や人々にあふれています。
フランスの食文化も有名ですよね。
イタリア料理の影響を受け、ソースなど味付けを豊富にアレンジした調理法や、パリ発祥のフランスパンなどが特徴的です。
自己主張が強いながらも弱者に優しく、ロマンティックで美意識が高い人が多いのです。
製作のポイント
ドイツと同じ要領で、同じ大きさの紙を今度は縦に合わせて、定規で境界線に沿って線を引くのもいいでしょう。
スーダン
国旗の特徴
上から赤、白、黒の順に配色されており、左側に緑の三角形が描かれています。
赤は愛国者、進歩や革命、白は平和と未来への希望、黒は黒い土地という意味を表す国名やアフリカ大陸、緑はイスラムの繁栄や幸福を表しています。
国の特徴
アフリカの北東にあるこの国は、ピラミッドや砂漠、夏場はとても暑いといった、いかにも南国なイメージをそのまま表現したような国です。
日本製品や文化が好きでアニメや柔道も詳しい人もいるのです。
遠い国でも自国の文化を認められるのは嬉しいですよね。
製作のポイント
左の三角を描いてから横に配色された三色を塗り分けていきましょう。
スイス
国旗の特徴
赤い背景色に真ん中の白い十字が描かれています。
シュビッツ州人の赤い楯、白十字はキリスト教を意味しています。
国の特徴
ヨーロッパの色んな国や、アルプスの山など雄大な自然にも囲まれています。
しかも裕福な国と評判で、勤勉で時間を守る点など日本人との共通点も多いのではないでしょうか。使われる言語もいくつかあり、食文化も地域によって多種多様です。
製作のポイント
国旗自体の形は正方形です。
十字架は少し細長くしましょう。
形も少し複雑になって塗りにくくなりますが、こういうときはまず正方形の紙に赤を塗り、上から白の十字型の紙を貼る、という方法もありますね。
ベトナム
国旗の特徴
通称「金星紅旗」と言われており、赤は自由を勝ち取った証、星の五条の光は労働者、農民、兵士、青年、知識人を象徴しています。
国の特徴
インドシナ半島の東にあり、地域によって気候が様々です。
向上心旺盛で勤勉でもあり、協調性があるといった日本人に似た部分があります。
製作のポイント
星(五芒星)を書くときは、
鉛筆、定規、消しゴムを用意しましょう。
すぐ消せるように薄く書きましょう。
- まず定規で各辺の半分の長さを測り印をつけます。
- 縦、横、それぞれの印から向こう側の印まで線を引きます。交差点が紙の中心になります。
- 紙を横長に置いた状態から、紙の中心に分度器の中心を当て、真上から72度の間隔で測って印をつけていきます。5つの印ができると思います。
- 紙の中心と③の印に定規を合わせ、紙の縦幅4分の1の長さに印をつけていきます。
- ④の各印から、向こう側の④の印へ線を結んでいきます。引き始め地点から隣の隣ということになります。他の印も同様に行いましょう。これで五芒星が完成です。星の外形以外の線や印を消して色分けしましょう。
万国旗を運動会向けに手作りしよう!4歳・5歳児向けの国旗は?
イギリス
国旗の特徴
ユニオンフラッグといわれており、「イングランドの白地に赤十字」「スコットランドの青地に白い斜め十字」「北アイルランドの白地に赤い斜め十字」が合わさったデザインです。
スコットランドと北アイルランドは同じ地位であることから、「カウンタークロス」と呼ばれる、交差点を境に色をチェンジする手法で描かれています。
国の特徴
ヨーロッパの北西にある島国で、正式名称はグレートブリテン、北アイルランド連合国です。
複数の国が合わさった連合国で、首都はイングランドのロンドンになります。
英語の発祥国で、時間やマナーを重んじ、誇り高い紳士が多いです。
製作のポイント
白い画用紙に描く場合は縦横の十字、斜線の十字、青地の順に描くといいでしょう。
十字斜線は交差点で赤の位置が反対になることに注意しましょう。
青い画用紙に斜線の十字、縦横の十字の順にそれぞれかたどった紙を貼っていくのも一つの手です。
マーシャル諸島
国旗の特徴
基本色は青色で、左下から右上にかけてオレンジと白の斜線が太くなっており、左上には白い光があります。
青と白の斜線は国内の二つの列島が未来へ発展する様子を表現しており、白い光は自治体の数と十字架を表しています。
国の特徴
太平洋に浮かぶ島国で、サンゴ礁が輪っかのように形成された「環礁」という地形があり、首都、マジュロのある環礁は上空から見ると「太平洋の真珠の首飾り」と呼ばれるほどの美しい景色です。
製作のポイント
白い光は下書きのときに円を描き、大きなとんがった光を4つ描いてから、周りの細かいギザを描いていけば、バランスよく描けます。
二色の帯は下書きのとき、色の境界線も引いておきましょう。
アメリカ
国旗の特徴
通称「星条旗」と呼ばれ、50の星は天と州の数を表し、13の紅白の条は独立時の州の数で、赤線は母国のイギリスを、白線は独立を意味しています。
国の特徴
カナダとメキシコの間にアメリカ本土、それとは別にアラスカ州がカナダとベーリング海峡の間にあります。
自由の女神やラスベガスなどで有名ですよね。
日本との交流が盛んで、実力主義で、自己表現をしっかりして、それでいてフレンドリーな人が多いです。
製作のポイント
下書きのとき、まっさらな画用紙に一辺の長さ÷当分数で線の間隔を調整できます。
子供には難しいようでしたら定規を当てて線を引いてほしい目盛りを指示するなどしてこまめに説明しましょう。
星の方は縦11等分、横9等分にするといいでしょう。
すみに星が入るように、上下左右に一つずつ間隔を開けて星を入れると50個になります。
紅白の方は横に13等分に線を引いて、上が赤になるように交互に配色していきましょう。
カナダ
国旗の特徴
左の赤は太平洋、右は大西洋を表しています。
真ん中のメイプルリーフは、カナダの特産品であるメイプルシロップが採れる「サトウカエデ」という樹の葉っぱを表しています。
国の特徴
アメリカに隣接した国で、移民大国といわれるほど外国の人も住みやすいと評判で、いろんな文化を持った人たちが暮らしやすい環境に整備されています。
フレンドリーな人が多く、温厚で相手の気持ちを尊重するといった、日本人との共通点もあります。
製作のポイント
まず中央のとがったところから書き始めると左右対称に描きやすいです。
左右の枝に近いとがった部分も忘れないようにしましょう。
ネパール
国旗の特徴
世界で唯一の四角形でなく、山を模した二つの三角形を上下にくっつけた形になってます。
上の三角にある月は王家、下の三角にある太陽は宰相として例え、太陽や月のように永く繁栄するように願いを込めて表現されたものです。
青い縁はヒマラヤの空、赤い背景色は国民を象徴しています。
外形からして難しいと思いますが、凝ったデザインの国旗がはためいてると、「なんて本格的な装いの保育園運動会だ…!」と、感心されることでしょう。
国の特徴
インドとチベットの間に位置し、世界一の高さを誇るエベレストがあり、神秘の国と評判です。
人情深い人が多く、損得なく人と接してくれて、日本人と相性が良いです。
製作のポイント
下の三角が少し大きいので、上下の三角形のつなぎ目は、縦幅の半分より少し上にしましょう。
保育園児に万国旗の作り方を教える時のポイントは?
まだ小さいうちは見本どおりに作る、という作り方は難しいところもあると思います。
それならはじめは見本に習って描くより、子供の自由な発想に任せて描かせるのも一つの方法です。
「国旗ではない」とつっこまれそうなアイデアですが、子供の心模様も一つの国と例えていただければ幸いです。
道具を用いなくてもできる手形ペイントや、簡単に使えるスタンプなどから試してみる、というのもおすすめです。
手が進まないようなら国旗をいくつか見せて、なんとなくでもどんな感じかわかってもらえるように参考にするのもいいかもしれません。
見本通りに描くのであれば、先生方が手を添えることから始めてみてもいいですね。
線を描く練習、図形を描く練習、図形を組み合わせる…といった感じでステップを踏んで応用を利かせていくのが有効です。
説明が難しいところもあると思いますが、なるべく国旗のデザインの由来や、その国旗の国がどんな国か説明すると気持ちを込めて描いてくれます。
例えば赤が友愛を意識したものなら、クレパスに愛情を込めて塗ってくれることでしょう。
より思い入れを持って製作してほしいなら、クイズ形式でどの国旗がどの国か当ててもらい、覚えてもらうのもおすすめです。
参考動画をご紹介します。
万国旗を飾り付けよう!
校庭で飾り付ける場合
校舎の屋上など高所から放射状に、校庭の端まで広げると見栄えが良くなります。
校庭の端は高さのあるネットなどに引っかけるといいでしょう。
こういうときは、万国旗のロープを長めに用意しといて、ボールを巻いて投げ入れるといった方法があります。
少しコントロールがいるかもしれませんが、これなら高いところに上って危ない思いをしなくて済みますね。
もし競技中雨が急に降ってきたら、雨天のなか国旗を掲げるのはよくないとされる国もあるので直ちに回収しましょう。
子供たちの作った作品が汚れるのも残念ですからね。
屋内用
校庭の場合でも解説した要領で、ボールにロープを巻いて梁の隙間へ投げ入れると、二階の観客からも良く見えます。
二階の柵に屋内用のポールスタンドを設置して結ぶのもいいかもしれません。
保存方法
クリアファイルに入れましょう。
このとき、入れ物と紙が擦れないように間に紙を挟むとより保存方法が良くなります。
トランクルームなど低温で、湿度が少ない日陰の空間で保存するのが理想です。
まとめ
では最後に要点をまとめさせていただきます。
- 運動会の万国旗は、外国の船がくるとき自国と日本の国旗を掲げたことから定着した説や、国際博覧会で色々な国旗が掲げられていたことから定着した説がある。
- 0歳・一歳の子供はシンプルで図形の数が少ないものにする。
- 2歳・3歳は図形の数を増やしたり、パーツごとに切り取ったものを貼っていく工作もしてみる。
- 4歳・5歳は図形を組み合わせるなど、0歳~3歳までしてきたことを応用する。
- 万国旗を作るポイント
- 子供に自由に描いてもらうのも一つ。
- あまり使える道具を使わずにできることから始めたり、図形を描くときに手を添えて手伝ったりする。
- 国の特徴を教える。
- 万国旗の飾り付けポイント
- 校庭なら屋上などから放射状に広がるように飾る。ロープにボールを巻いて投げ入れると安全に設置できる。途中雨が降ったら直ちに回収する。
- 屋内でも校庭と同じ要領で、梁など高いところに飾る。
- 保存するときは傷まないようにクリアファイルに、紙をはさんで収納する。低温で湿気が少ない、日陰の場所に保存する。
筆者のなかでシンプルな国旗と思った順に紹介しましたので、参考にしていただけたらなと思います。
少しずつ段階を踏んでデザインの凝った国旗に挑戦してみるのも、子供たちに自由に判断させるのもいいと思いますが、あなたならどうしますか?
小さいうちから色んな国の違いに関心を持ってもらうと、きっと大人になったときに良い思い出になりますよ。
皆で作った万国旗を飾って皆で楽しめる運動会にしましょう。
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